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暗号資産の投資というと、価格が安いときに買って値上がりしたあとに売却する「売買差益」を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、株式の配当金のように、口座に暗号資産を置いておくだけで定期的に数量が増えていく仕組みが存在します。それが「ステーキング」です。
私自身、2020年5月から2021年3月にかけてコインチェックでリスクという暗号資産を保有していた際、毎週水曜日に合計42回にわたって自動で報酬を受け取り続けました。
当時の取引履歴CSVデータをもとに、「暗号資産を預けておくだけで増える仕組み」の実際と、初心者が絶対に混同してはいけない「貸暗号資産との決定的な違い」について客観的に解説します。
1. 【実録】毎週水曜日に自動付与された全42回のCSV履歴データ
まずは、私のコインチェック口座の取引履歴CSVに残っている、2020年から2021年にかけての実際の受取記録をご覧ください。
リスクの保有を始めてから外部へ送金するまでの約10ヶ月間、毎週水曜日の午前11時台に「Staking Reward」という項目で報酬が機械的に付与され続けました。以下は月別の集計サマリーです。
| 対象年月 | 付与回数 | 月間受取数量 | 当時の保有状況 |
|---|---|---|---|
| 2020年5月 | 1回 | +0.002629 LSK | 初回購入直後 |
| 2020年6月 | 4回 | +0.085572 LSK | 中旬に5万円分を買い増し |
| 2020年7月 | 5回 | +0.309121 LSK | 約450 LSKを継続保有 |
| 2020年8月 | 4回 | +0.212702 LSK | 継続保有 |
| 2020年9月 | 5回 | +0.261315 LSK | 継続保有 |
| 2020年10月 | 4回 | +0.113101 LSK | 継続保有 |
| 2020年11月 | 4回 | +0.103747 LSK | 継続保有 |
| 2020年12月 | 5回 | +0.121199 LSK | 年末に一部売却 |
| 2021年1月 | 4回 | +0.077112 LSK | 年明けに買い直し |
| 2021年2月 | 4回 | +0.084624 LSK | 継続保有 |
| 2021年3月 | 2回 | +0.036085 LSK | 外部ウォレットへ送金して終了 |
| 合計 | 全42回 | +1.407207 LSK | 毎週自動付与 |
上記のように、約10ヶ月間で合計42回の報酬付与があり、累計で約1.4 LSKを受け取りました。以下はCSVから抜粋した具体的な受取ログの一部です。
| 日時 | 操作 | 数量 | 当時の状況 |
|---|---|---|---|
| 2020-05-24 14:55 | 購入 | 50.0 LSK | 初回の購入 |
| 2020-05-25 07:53 | 購入 | 40.0 LSK | 合計90 LSKに買い増し |
| 2020-05-27 11:06 | 報酬付与 | +0.002629 LSK | 初回ステーキング報酬 |
| 2020-06-03 11:07 | 報酬付与 | +0.012257 LSK | 2回目の定期付与 |
| 2020-06-16 23:24 | 購入 | 363.23 LSK | 50,000円分を追加購入 |
| 2020-06-24 11:07 | 報酬付与 | +0.056109 LSK | 保有量増加に伴い報酬が急増 |
| 2020-07-08 11:08 | 報酬付与 | +0.074061 LSK | 保有数量に応じた定期報酬 |
| 2021-03-08 23:15 | 外部送金 | -392.48 LSK | 外部ウォレットへ全額移動 |
| 2021-03-10 11:04 | 報酬付与 | +0.014311 LSK | 送金直前の残日数分の最終付与 |
特筆すべきは、2020年6月16日に約5万円分のリスクを追加購入した直後です。保有数量が約90 LSKから約450 LSKへと増えたことで、翌週の6月24日以降の付与数量が週あたり約0.01 LSKから約0.05〜0.07 LSKへと一気に跳ね上がっています。
申込みボタンを押す必要もなく、「対象の銘柄を口座に置いてあるだけ」で自動計算されて毎週着金するという仕組みが実際に機能していることが分かります。
2. なぜ口座に置くだけで増えるのか?ステーキングの仕組み
何も取引していないのに暗号資産が増えると聞くと、「怪しい仕組みではないか」「詐欺的な配当ではないか」と警戒される方もいるかもしれません。しかし、ステーキングはブロックチェーンの安全性維持のために設計された公式の機能です。
ビットコインのような従来の暗号資産では、高性能なコンピュータと膨大な電力を使って計算競争を行う「マイニング」によって取引を承認し、新しいコインを発行しています。
私が2014年に自宅PCのグラフィックボードをフル稼働させてマイニングした際も、電気代と騒音に悩まされながら計算作業を行っていました。
これに対して、近年の多くの暗号資産では「プルーフ・オブ・ステーク」という仕組みが採用されています。大量の計算競争を行う代わりに、「その暗号資産を多く長く保有している人たち」が取引の検証作業に参加し、ブロックチェーンの安全性を維持します。
ステーキングで報酬が発生する流れ
1. 利用者が口座に対象銘柄を保有する:国内取引所の口座に対象の暗号資産を置いておきます。
2. 取引所が検証ノードを取りまとめる:利用者の暗号資産を預かる取引所が、利用者に代わってブロックチェーンの検証作業に参加します。
3. ブロックチェーンから報酬が支払われる:ネットワーク維持の対価として、ブロックチェーンから取引所へ新規の暗号資産が報酬として支払われます。
4. 利用者に分配される:取引所が手数料を差し引いたうえで、保有比率に応じて利用者の口座へ毎週または毎月直接付与します。
つまり、誰かの損からお金を回しているのではなく、ブロックチェーンのインフラを維持した対価として公式に発行される報酬を受け取っているというのがステーキングの本質です。
3. 初心者が混同してはいけない「ステーキング」と「貸暗号資産」の境界線
暗号資産でインカムゲインを得ようとする際、初心者が最も混同しやすいのが「ステーキング」と「貸暗号資産」の違いです。名前は似ていますが、法律上の位置づけと背負うリスクはまったく異なります。
| 比較項目 | ステーキング | 貸暗号資産 |
|---|---|---|
| 収益の原資 | ブロックチェーンの検証報酬 | 取引所が利用者に払う借入料 |
| 法律上の契約 | 暗号資産の預託・管理委託 | 無担保の消費貸借契約 |
| 資産の保管方法 | 分別管理により安全保管 | 取引所の自己資産と混蔵管理 |
| 売却や出金の自由度 | いつでも即座に売却や出金が可能 | 期間中はロックされ途中解約不可が原則 |
| 取引所破綻時のリスク | 原則として利用者へ返還される | 破綻時に戻らない信用リスクを負う |
貸暗号資産はレンディングとも呼ばれ、保有している暗号資産を一定期間取引所に貸し出し、満期を迎えたときに利息を受け取る仕組みです。年率数パーセントから十数パーセントと高い利回りが提示されることがありますが、契約形態は「無担保消費貸借」になります。
無担保消費貸借である以上、万が一貸し出し先の業者が経営破綻した場合、預けた暗号資産は保護されず全額失うリスクを直接背負うことになります。過去に海外の大手貸出サービスが連鎖破綻した際も、多くの預金者が資産を取り出せなくなりました。

利回りの数字だけで選ぶと危険だよ!ステーキングなら分別管理のままだから、急な相場変動でもいつでもすぐに売却できるのが大きな安心感だね。
一方、国内取引所のステーキングは、暗号資産を取引所に貸し付けるわけではありません。資産は法律に則って取引所の資産とは分別してコールドウォレット等で安全に管理されます。途中でロックされることもないため、相場が急変したときはいつでもその場で日本円に売却できます。
4. 国内取引所でステーキングを活用する賢い選び方
私がリスクを運用していた2020年当時は、国内でステーキングに対応している銘柄はごく一部に限られていました。しかし現在では、イーサリアム、ソラナ、カルダノ、ポルカドット、アバランチなど、時価総額上位の主要銘柄へと対象が大きく広がっています。
国内のホワイトリスト取引所でステーキングを活用する際、特徴に合わせて使い分けたい代表的な3社を整理します。
SBI VCトレード:国内最多水準の銘柄数と東証プライムの安心感
現在、国内のステーキング分野で最も積極的なのがSBI VCトレードです。東証プライム上場のSBIホールディングス傘下にあり、強固な財務基盤と高いセキュリティ体制を誇ります。
ソラナやイーサリアム、カルダノをはじめとする10種類以上の主要銘柄でステーキングに対応しており、特別な事前申請をすることなく対象銘柄を口座に保有しているだけで毎月自動的に報酬が付与されます。ステーキングを主目的に長期運用したい方にとって第一候補となる取引所です。
GMOコイン:各種手数料が無料でステーキング報酬も受け取れる
東証プライム上場のGMOインターネットグループが運営するGMOコインも、主要銘柄のステーキングに対応しています。
GMOコインの大きな強みは、日本円の入出金だけでなく暗号資産の外部送金手数料まで無料である点です。将来的にハードウェアウォレットへ資産を移動させたり別の口座へ移したりする際も、手数料のコストを気にせず柔軟に動かせます。
送金・出金手数料ゼロ!各種ステーキング対応
コインチェック:分かりやすいアプリと積立投資の併用に向く
東証プライム上場のマネックスグループ傘下にあるコインチェックは、国内でいち早くリスクのステーキングサービスを開始した実績があります。
銀行口座からの自動引き落としによる定期積立サービスが充実しているため、アプリの使いやすさを重視しながら長期でコツコツ積み立てて運用したい初心者に向いています。
5. まとめ:放置で増やすなら「分別管理のステーキング」を基本にする
暗号資産の相場はボラティリティが高いため、短期の価格変動を追いかけ続けると精神的な負担が大きくなります。その点、長期保有を前提にステーキング報酬をコツコツ積み上げていく手法は、日々の値動きに振り回されない賢い付き合い方のひとつです。
大切なのは、利回りの高さだけに目を奪われて無担保の貸暗号資産に全額を預けるのではなく、いつでも売却可能で分別管理が守られている「国内取引所の公式ステーキング」を選ぶことです。ご自身の運用スタイルや保有銘柄に合わせて、安全性の高い国内業者を用途別に使い分けてみてください。